信仰奨励
ボーイスカウトの信仰奨励とは?
ボーイスカウトでは、ボーイ隊に上進する時に「ちかい」をたてる儀式を自然の厳かな雰囲気の中で行う慣わしがあることを別稿で書きましたが、この儀式で「私は名誉にかけて、次の三条の実行を誓います。一(ひとつ) 神(仏)と国とに誠を尽くしおきてをまもります。―以下省略―」と、自分自身の心に向けて声を発して宣誓をします・・・。 我国ボーイスカウト教育のバイブルである教育規程には、「加盟員が、それぞれ明確な信仰をもつことを奨励する」とあり、一方では「特定の宗教団体を支持せず、またこれらの団体からの制約も受けない」と明記されています。 ボーイスカウト運動は100年前に英国で創始され、その15年後に我国に導入された訳ですが、創始者ベーデン・パウエル卿は、「スカウトたちは毎日の生活で礼節を重んじ、神への義務、仲間への義務、そして他人への義務を果たすようになり、スカウトたちがそれらの義務を遂行することが何よりも重要である」と説きました。そして「神よ我々の偉大なる女王陛下を助けたまえ!」と国歌で歌われ続けているように、英国民にとっては「神と国とに誠を尽くし」の言葉は、ごく当たり前に浸透しているのであろうと思います。 しかしながら、圧倒的に無神論者が多く「困った時の神頼み!」を得意とする国民性などと言われている我国においては、この「神(仏)」を子ども達にどう説明し、指導していくかが実に難しい課題であります。 私の所属する団では約100名の地域の子ども達が活動していますので、毎年9月の上進時期になると新しく「ちかい」をたてるスカウトに「君の家の宗教は?信仰は?」と聞くことになりますが、ほとんどの子どもは「知らない!判らない!」と答えます。そういうスカウトには、いきなり特定の宗教を信仰するのではなく、いわゆる宗教(しゅうきょう)心(ごころ)を少しずつ醸成していくことが大切でありますので、先ずは、自然を舞台にしたボーイスカウト活動を通じて自然への憧れや畏敬の念を持ち、大自然に生かされていることを自覚して謙虚な心を持ち、自然と共生する姿勢を育むことにより超自然界の存在、つまり「超自然信仰」とでも言うべきライフスタイルを身に着けることを奨励する努力をしています・・・。
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日貿易出版社発行 森屋啓著「地域力だ!ボーイスカウト」より